Big 4のマネージャーがアメリカで転職活動して300件応募した話

USCPAとしてBig 4に採用してもらったことで達成できたアメリカ移住ですが、6年のBig 4ライフを経て転職することにしました。

今回はその振り返りと気付きをシェアしてみようと思います。

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バックグラウンド

日本の4年制大学を卒業したあと、日系の上場企業からキャリアをスタートしました。

最初の仕事は代理店営業で、仕事にやりがいが見いだせなかったことから手に職をつけたいと考えるようになり、資格取得に興味を持ち始め、その過程でUSCPAの勉強を始めました。

USCPAを勉強していたことが功を奏してか、日系企業からニューヨークに2年間の駐在に出るチャンスをもらい、初の海外勤務を経験しました。

このときの経験がきっかけになって、その後移住を目指すことになります。

駐在期間中は営業企画や経理など、海外子会社の部門をいくつかローテーションで経験させてもらいました。

帰任後は東京の本社で海外子会社管理部門に配属になり、海外拠点から来る色々な相談事の窓口として、月次決算レビュー、様々な現地での経営課題に対する本社サポート窓口として、本社のリソースを活用しながら課題の解決を支援する内部コンサルをしていました。

また、海外M&Aのプロジェクトにもいくつか参画し、タームシートの交渉フェーズ、クロージングからPMIに渡る過程を経験させてもらいました。

本社に帰任してからは再度アメリカに戻りたいと気持ちが強くなり、転職活動を通してニューヨークのBig 4からオファーをもらい渡米、今に至ります。

ニューヨークのBig 4では、ジャパンデスクの一員として、主には日系企業の米国子会社の監査に従事していました。

通常監査法人では業界ごとにグループが分かれていて、自分の専門性を業界特化で磨いていくキャリアが一般的ですが、僕の場合はジャパンデスクという特性上、日系企業ならば業界問わず色々な業種のクライアントを担当し、色々な会計論点に当たることができました。

前職経験はあったものの、監査経験はなかったので一年生からスタートし、6年でマネージャーにまで昇進しました。

ジャパンデスクの仕事の他にも、アメリカの上場企業監査のチームにも入ったり、PCAOBレビューを経験したりとBig 4ならではの色々な経験をさせてもらいました。

転職活動のきっかけと目的

Big 4という場所の特性上、誰しもどこかでBig 4を辞めることを考えています。

ずっと残っていればシニアマネージャーからパートナートラックを目指すことになりますが、一方でマネージャーのままキャリアが止まったり、シニアマネージャーのままずっといるということもありません。

従って、Big 4で働くということは、パートナーを目指すか、そうでなければどこかで出口を決めてそこまで頑張るという二択になります。

僕自身は日系企業でそれなりの期間働いてからキャリアチェンジしたこともあって、マネージャーまではやりたいと思っていました。

また就労ビザの制約もあったので、グリーンカードを取得して職業選択の自由ができてから他の仕事に就きたいと考えていました。

この2つの目標が達成できたのが2023年だったので、自然と自分の目線も「じゃあ次に移ろう」という方向に移っていきました。

パートナーを目指す、という道もあったかもしれませんが、やはりBig 4の仕事はとてもハードです。得られる経験や成長に魅力を感じる一方で、上に上がれば上がるほど、責任も仕事の量も増え、マネージャーの時点でライフワークバランスの限界に来ていたなと感じていました。

またコロナから回復して以降、徐々にオフィス回帰、クライアント訪問回帰の傾向も強まっていき、一度リモートワークを経験してしまった自分の身体は週5でオフィスに戻ることに想像以上の抵抗がありました。

従って、転職活動をするに際しては以下のクライテリアでサーチし始めました。

  • リモートOKであること
  • Big 4の現年収から下がらないこと
  • Manager以上であること(特に最初はFinancial Reporting ManagerやTechnical Accounting Managerにフォーカスしていました)

ポジション探しの方法

LinkedIn

一番使ったのはやはりLinkedInです。

アメリカではきちんと自分のプロフィールをアップデートしている人が多いです。

自分のプロフィール画面から、Open to Workのステータスを変更することができ、以下のように “Recruiters only” のステータスを設定することで、リクルーター登録している人にだけ、自分が仕事を探していることを見せるようにすることもできます。

この設定にすることで、自分のプロフィールを見たリクルーターからメッセージが来て案件を紹介してくれる、という感じで繋がっていきます。

現職の人にバレたくないという場合はこの設定にしておけば大丈夫です。

またLinkedInの中にもジョブボードがあり、ここからもたくさん応募しました。

フリーワードで検索もできますし、Advanced searchからは場所や業界、給与水準など色々な角度で自分の希望にマッチした案件だけをフィルターできるようになっています。

一般的なジョブポストは上記のような感じですが、ここで気をつけたいことがいくつかあります。

1.Easy Applyは使ってはいけない

スクショの下に青いボタンがあって、”Apply” “Easy Apply” の2種類があります。

“Apply”の方は外部リンクに飛ぶようになっていて、その多くは会社のCareerページ内の該当ポジションのリンクに繋がっています。つまり、LinkedIn経由で会社のウェブサイトに行き、そこから応募するという流れ。

一方で “Easy Apply” はクリックするとLinkedInの中で応募が完結し、自分のLinkedInプロフィールの情報を引用して応募情報を取り出し、追加質問やレジュメのアップロードをすればそのまま応募が完了するというLinkedInが提供しているサービスです。

リクルーターやインフルエンサーがTikTokやYoutubeで必ず言っているのは、この “Easy Apply”を使ってはいけない、ということ。

おそらく簡単に応募できることから山ほど応募が来てしまい、スクリーニングに時間がかかる上、単純に競争率がすごく上がってしまうことが原因じゃないかと思います。

僕は見つけた案件が “Easy Apply” だった時には、必ず会社のウェブサイトに飛んでCareerページからそのポジションに応募するようにしていました。

2.人材紹介会社の代行ポストが多い

2つ目のスクショがそうなんですが、これは会社の直接募集ではなくて、リクルーティング会社がクライアントの募集を代行してポストしています。

従ってここから応募するとリクルーターから改めて連絡が来て、スキルセットの確認をしてから改めて応募、という流れになります。

この方法が悪いわけではないですが、リクルーティング会社もクライアント情報を公開してはいないので、どこの会社なのかは話すまでわかりません。一段階工程が増えることになるので注意です。

リクルーター経由

LinkedInでDMを送ってきたリクルーターとは全部で10人くらい話したと思います。

たまたま時期的にそうだっただけかもしれませんが、僕が話したリクルーターはほぼリモート案件を持っておらず、ハイブリッドかオンサイトの案件ばかりだったため、話はしたものの、実際に応募できるものはありませんでした。

リモート案件はそもそも人気があるし、全国どこからでも応募が来るので、リクルーターを使わなくても十分募集が集められるということなのかもしれないですね。

Big 4の同僚は多くがリクルーター経由で転職先を見つけているので、効果的な手法であることには間違いありません。

僕自身も応募には至らなかったものの、経歴を聞いてもらったり、レジュメをレビューしてコメントをくれたり、マーケットの状況をヒアリングできたりと話すメリットはたくさんありました。

Builtin.com

このウェブサイトはリモート案件を中心に取り扱っているジョブボードで、LinkedInに掲載されていない案件があったりしたのでこのウェブサイトも定期的に見に来ていました。

このサイト上からも応募できるようですが、上記の理由で会社の元掲載情報まで行って応募していました。

このウェブサイトを使っていたのはリモート特化のジョブボードだったからなんですが、他にもリクルートグループ傘下のindeedもアメリカでは結構人気があると聞きます。

色々なところのポストを見ていると、必ずしも全部のボードに乗せているわけではないんだなーという実感がありました。

複数のウェブサイトを見て回ることで色々な企業の案件に出会うことができると思います。

業界選び・会社選び

元々自分の中で決めていたクライテリア以上には、特に条件を設定していませんでした。

リモートOKなところを選んでいたこともあって、傾向としては以下のような感じです。

  • 金融機関は選択肢に入らない(オンサイトかハイブリッドが主流)
  • リモートOKなのはテック、クリプト、製薬系が多かった
  • リテールや製造業系はあまり乗り気じゃなかった(在庫をもうやりたくないw)

最初は応募する段階で多少会社のウェブサイトを見たり、応募しても大丈夫そうか調べたりもしていたんですが、慣れてくるともう数打たないと話にならないとわかり、クライテリアを満たしているところであれば流れ作業で応募し続けました。

転職活動の統計分析

せっかくがんばったので、こんなこともしちゃいます。

日別・月別応募状況

応募した日
応募件数
7/26 1
8/8 1
8/9 1
8/14 1
8/25 1
8/26 2
8/28 1
8/30 2
8/31 1
9/1 2
9/5 5
9/7 3
9/10 7
9/11 3
9/14 6
9/17 3
9/18 5
9/19 17
9/22 21
9/24 3
9/25 5
9/26 1
9/27 12
9/29 6
10/4 4
10/11 8
10/12 2
10/13 9
10/15 8
10/16 14
10/19 16
10/23 1
10/24 11
10/25 4
10/26 3
11/2 1
11/3 11
11/5 33
11/6 13
11/7 12
11/9 3
11/12 1
11/15 1
11/22 13
11/24 4
11/26 3
11/28 2
11/29 1
12/1 1
12/3 5
Grand Total 294

月別にまとめると、

応募件数
7 1
8 10
9 99
10 80
11 98
12 6
Grand Total 294

7月頃からさわり始めたものの、本気を出したのは9月からですね。

月平均100件はなかなか頑張ったんじゃないかと思いますが、完全に質より量ですね笑。

業界別応募状況

業界別の応募件数をサマってみました。

テック系がダントツの102件、続いてヘルスケアが52件、金融機関が46件です。

いわゆる銀行・証券はこの金融機関には入っておらず、大半はクリプトかフィンテックです。

業界 応募件数
Advertising 2
Agriculture 1
Architecture 1
Beverage 2
Biotechnology 4
Business Services 10
Conglomerate 1
Construction 2
Consulting 1
Cybersecurity 3
E-Commerce 2
Education 4
Equipment Rental 1
Financial Services 46
Fitness 1
Food & Beverage 1
Healthcare 52
Insurance 1
Legal 1
Manufacturing 5
Media & Entertainment 1
Real Estate 5
Retail 1
Software 15
Supply Chain 1
Technology 102
Transportation 4
Grand Total 270

どこまで行けたか分析

次はどの段階まで行けたか分析します。

  • 4割は応募しても返事なし
  • 5割は書類落ち
  • 面接まで行けたのは全体の1割のみ

アメリカの友達にもれなく言われたのは、「ジョブインタビューは数勝負だから、ひとつひとつの結果を気にせず出しまくれ」ということ。

この結果を見るとその理由もわかりますよね。

フェーズ 件数 %
1. No response(応募したけど返事なし) 112 38.10%
2. Application(書類落ち) 158 53.74%
3. HR interview(人事の初回面接) 7 2.38%
4. Web test(ウェブテスト) 1 0.34%
5. Hiring manager interview(採用責任者の面接) 6 2.04%
6. Pre-final interview(採用責任者の上司と面接) 1 0.34%
7. Final interview(最終面接) 3 1.02%
8. Offer(オファー) 1 0.34%
9. Withdrawn(辞退) 5 1.70%
Grand Total 294  

そして見てわかる通り、オファーまでたどり着けたのは一社だけでしたので、とても選ぶ余裕なんてありませんでした(苦笑)。

職種・ランク別分析

次は職種・ランク別に分析してみます。

  • 基本は監査経験を活かしてAccountingに応募
  • FP&Aは興味があったがまるで通用せず(MBAやFP&A実務経験が必要)
フィールド
件数
Accounting 199
Finance 34
FP&A 43
Other 18
Grand Total 294

職種別に結果を見ると、Accounting以外はあまり響いていないのがよくわかります。

これは自分のレジュメの作り方のせいなのか、監査経験者の限界なのかはわかりませんが、とにかくファイナンス、FP&Aは全然ダメでした。

Field No response Application HR interview Web test Hiring manager interview Pre-final interview Final interview Offer Withdrawn Grand Total
Accounting 74 105 6 1 5 1 1 1 5 199
Finance 15 18         1     34
FP&A 16 27               43
Other 7 8 1   1   1     18
Grand Total 112 158 7 1 6 1 3 1 5 294

こちらは応募したランク別です。

  • 監査法人でマネージャーだったので、同格のマネージャーが検索の中心だった。
  • 最終的にはマネージャー以上であればなんでも応募してみた。
ランク
件数
Assistant Controller 13
Assistant Manager 1
Associate Director 3
AVP 1
CFO 1
Controller 18
Director 15
Manager 151
Other 18
Sr Director 1
Sr Manager 69
VP 3
Grand Total 294

転職活動を終えてみての気づき

無事に年内に転職活動を終えて、次のキャリアに進むことができましたが、本当に年明けからのビジーシーズンには間に合わないかもしれないと思い、来年の再チャレンジを覚悟していた中でのオファーでした。

Big 4でマネージャーまでやったからといってまったく楽勝ではなく、すげー苦労したので、苦労した中での気づきもシェアします。

  • 転職する気がまだなくても、意識し始めた段階から受け始めるべき。練習大事。
  • 監査法人で入ったクライアントの業界と志望業界がマッチしていた方が強い。
  • 監査法人でやっておいた方が良いことがあった。

転職する気がまだなくても、意識し始めた段階から受け始めるべき。練習大事。

ぼくはマネージャーまではBig 4でがんばるつもりだったので、それまではほとんどリクルーターと接触したり、インタビューを受けたりしたことはありませんでした。

実際にやっていく過程のなかで、レジュメのフィードバックや、どんなポジションがどんな条件で募集されているのか、というマーケットの状況を学ぶことができるので、定期的にマーケットに出てどんな可能性があるのかを把握できるようにしておくのは大事です。

監査法人で入ったクライアントの業界と志望業界がマッチしていた方が強い。

例えばテック企業に行きたい人は、テック企業の監査をガッツリやっておいた方がいい、それだけのことなんです。

でもぼくはジャパンデスクに所属していたこともあり、クライアントポートフォリオは色々な業界に分かれていました。

通常Big 4に入る人は、メディア&エンターテイメントグループ、リアルエステートグループ、ヘルスケアグループなど、業界ごとに分かれたグループに所属しており、その業界のクライアントを中心にエンゲージメントに入ります。

ジャパンデスクもそのようなグループのひとつ、という取り扱いであったため、ぼくのクライアントは日系企業の子会社ならなんでも来いという感じで、リテール・ヘルスケア・ソフトウェア・製造業など様々なクライアントの監査に従事しました。

それそのものは、色々な業界のビジネスや会計トピックを学べる機会が得られたので、自身の満足度は高いのですが、いざ転職しようと思うと、自分が「監査のジェネラリスト」であって、「業界のスペシャリスト」ではないことに気づきました。

やはり採用する側としては、同じ業界の大手企業を何社も見てきて知見がある人を採用したいという気持ちになるのは当然です。

その観点で考えると、自分のキャリアを見据えてどんなクライアントに入っていきたいかを明確にしてリクエストをしていくことが必要だったなと思いました。

特にぼく自身は、クリプト系やIPO前の企業の監査に興味があったのですが、在籍中にはそういったクライアントに入ることがないまま次のキャリアに移ってしまいました。

こういうところはきちんとつぶしておいたほうがよかったなと思っています。

監査法人でやっておいた方が良いことがあった。

インタビューの過程で、ポジションや職種によってよく聞かれることがありました。

  • マネジメント経験はあるか?
  • 上場企業監査の監査経験はあるか?
  • SOXの経験はあるか?
  • 10-K/10-Qの監査経験はあるか?
  • IPO監査の経験はあるか?
  • ERP(NetSuitesやSAPなど)の経験はあるか?

業界やポジションによっても違うと思いますが、ぼくはよくこのあたりの質問を聞かれました。

こういうのも知っていれば、事前にそういうエンゲージメントに入っていればチェックできるポイントなので、やっておくべきものです。

品質管理のナショナルオフィスの経験もTechnical Accountingに進みたいひとには大きなプラスになります。

よく考えてみれば、有名企業であればBig 4出身者はきっとたくさん応募してくると思うので、その中でも差別化を図れるようななにかを作っておくというのは大切ですよね。

次のキャリアチェンジの機会がいつ訪れるかまだわかりませんが、アメリカでキャリアアップをしていく上で、このプロセスは避けて通れないものです。

未来の自分への備忘録とするとともに、これからアメリカで転職活動を考えるみなさんの一助になれば幸いです。

無事に2023年中に書き締めることができてよかったです!

みなさま良いお年を!2024年も引き続きよろしくお願いします。

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