アメリカ在住の日本人がBlack Lives Matterが始まってから今までに学んだこと

ご無沙汰しています、よろにくです。

もともとポジティブに移住や勉強のことを発信するために始めたこのブログですが、今回は趣向を変えたテーマを扱ってみようと思います。

今回警官によるGeorge Floydさんの不当な扱いが彼の死に繋がったことに端を発する#Blacklivesmatter  (黒人の命が重要なんだ:意訳)運動が世界中に大きな波を起こしていますよね。

日本人の目線から見て、どう見えていますか?

ニュースで見える情報だけでは賛否両論なように思います。

僕自身も、アメリカに住んでいながらも、黒人差別の歴史や、現在の黒人コミュニティが目の当たりにしている問題について、分かっているようで何も分かっていなかったということを、日々のニュースや色々な人の啓蒙活動から身に沁みて感じています。

あまりにも情報量が多く、自分でも整理しきれないので、このブログの場を借りて整理してみたいなと思います。

ここで書くことがもちろん全てではありませんし、僕自身もまだまだ勉強中ですので、またアップデートする記事を継続して書きたいと思います。

後にも記しますが、この記事が、読んでくださる方がこの問題に興味を持つ、または理解の一助となれたらいいなという気持ちで書きます。

ご指摘事項がありましたら忌憚なくコメント頂けましたら幸いです。

文章の中で使うアフリカン・アメリカンという言葉は、日本で一般的に使われる黒人のアメリカ人と同意です。

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George Floydさんに何があったのか?

まずは何が事実としてあったのか、映像で見てください。

‘I can’t breathe:’ Death of unarmed black man George Floyd leads to firing of white police officers (YouTube Link)

白人警官が膝で黒人男性の首元を押さえつけ(ニュースによると7分間)、男性は “I can’t breathe” (息ができない)と助けを求めながらもそのままの状態で気を失います。

白人警官はポケットに手を入れたまま特に助けも聞かず、そのまま救急車が来るまで放置しました。

救急車が来る頃には男性はぐったりと意識を失い、病院に搬送されますがそのまま亡くなってしまいました。

日本で警察官がこんな行為に及ぶところは、少なくとも僕自身は見たことがないです。

「アメリカ人は身体が大きいし豪快な気質だから、そんなこともあるんじゃないの?」

「アメリカは銃社会だし、この人も悪いことしたんじゃないの?」

そう思うかもしれませんが、アメリカの警察は白人には絶対にこんな扱いはしません。

なぜならば、行政の中の権力者は白人の占める割合が多く、こんなことを白人にしたら関係各所から「正当に」罰せられてしまうからです。

Georgeさんは悪人だったのか?

Georgeさんがそもそも警察に尋問されたのは、分かりやすく言うと、直前にニセ札でタバコを買おうとしたからだと言われています。

ニセ札使っただけであんな押さえつけられ方するでしょうか?

彼は銃も持っていませんでした。

アフリカン・アメリカンだから、無抵抗でもあんな乱暴な扱いをされたのだ、というのが世論があの映像を見たときの解釈です。

Black Lives Matter運動はなぜ起こったのか?

こんな映像を見たらショックを受けますよね。

でもアメリカではこういう事件は度々起こっています。

日本人の@kayeyugamiさんがインスタグラムに投稿しているこちらのポストで一例が紹介されています。ブログでは一部のみ抜粋させていただくので、全文はインスタグラムで読んでみてください。

Trayvon Martin(トレイボン・マーティン)

2012年2月26日 フロリダ州

17歳 アフリカ系アメリカ人

経緯:コンビニから帰宅中、自警隊員だったジョージ・ジマーマンがトレイボンを怪しいと911に通報。警察からの「車から出ないで」との指示を無視。警察は銃を持って接近。丸腰のトレイボンと言い合いになりトレイボンは射殺される。銃声を聞いた近所住民が通報するが、救急車到着時には既に死亡。

その後:正当防衛が認められ無罪。それだけでなく、名誉毀損として2019年にジマーマンは被害者家族を起訴。

#Blacklivesmatter 発祥の事件

Eric Garner(エリック・ガーナー)

2014年7月17日 スタテン島(ニューヨーク州)

43歳 アフリカ系アメリカ人

経緯:タバコ販売による疑いをかけられたエリックが容疑を否認したところ、警察官が絞め技(違法)を使い窒息死させた。現場にいた警察官はまだ彼が息をしていると判断したため心肺蘇生措置をとらず、そのままエリックは亡くなった。

絞め殺した警官:白人

その後:警察は5年越しに昨年解雇したのみ

#ICantBreathe 発祥の事件

今回の抗議で使われているフレーズは今回が初めてじゃないんですね。

アメリカのここ10年以内の歴史の中で、紹介されているだけでも8件起こっています。

ほぼ年に一回、人が死ぬレベルの差別があるということは、日常レベルではきっともっとたくさんあって、アフリカン・アメリカンの人たちにとっては、もはや差別的な扱いを受けることが日常茶飯事のようなことではないのかなと想像します。

きっとコロナで自宅待機しなくてはならかったり、仕事を失ったり、家族を失ったり、そういったストレスが溜まっていたこと、普段なら外に仕事に出ていた人も家にいたこと、SNSの普及で爆発的に情報が拡散したこと、そんな社会情勢も相まって、今回の運動が普段以上の注目を集めているのかなと個人的には感じています。

差別があるのは分かる、でも暴動はやりすぎじゃないの?

そう思う人、少なくないと思います。

店のショーウィンドウが破られて商品が強奪されたり、パトカーに火をつけたりして、やってること変わらないんじゃないの?

そう思うと思います。

この記事を書いている時点では、この運動の中に、悪意を持って抗議運動参加者を扇動し、金品を略奪しようとしている人間が紛れ込んでいる可能性が示唆されています。

ニュースではエキセントリックな情報ばかりが取り上げられるので、さも抗議運動がこうした暴動を引き起こしているように報道されますが、アメリカ国内では、抗議運動と暴動は切り分けたものとして扱われています

ですので、ニュースで襲われたお店を見たからと言って、それがこの抗議運動とイコールであると解釈するのは間違いです。

この点については、ニューヨーク知事 アンドリュー・クオモが日次会見で発しているコメントを日本語でまとめてくれているFacebook Group「ニューヨーク情報共有」コミュニティのポストを引用します。

◎(NY州)クオモ知事のメッセージ(6月3日)
– 改めて、ジョージ・フロイド氏の死によって引き起こされた怒りや抗議活動と、犯罪行為・略奪を区別したい。抗議活動に参加する人々はフロイド氏の死・構造的な人種差別に憤ってしかるべきである。しかし、暴力に訴えてはいけない。フロイド氏は警察官に暴力を振るわなかった。暴力を振るうと大義を失ってしまう。
– また、外出禁止令を尊重してほしい。外出禁止令は警察官が略奪行為を食い止めるために非常に重要な役割を果たす。略奪は明白な犯罪でありメッセージ性も何もなく、ただ混乱を生み出すだけである。私は混乱を生み出すような略奪を許しはしない。警察官は秩序を守り、略奪を阻止し、犯罪を無くすために権限を与えられるべきである。
– 昨6月1日夜の抗議活動の大部分は平和裡に行われた。NY市では大きな改善が見られ、役割を果たすために十分な数の警察官が動員された。NY市の人々は安心したであろう。
– 現在は、新型コロナウイルスの問題とフロイド氏の死によって引き起こされた抗議活動が同時に起こっている難しい状況であり注意を払う必要がある。今のような人々が分断されている時期にはリーダーシップや良い政府が重要である。

クオモ知事は、ニューヨークというリベラルな州の知事なので、こういった人道的な抗議活動には協力的な姿勢であるし、人種差別に対する怒りは持って当然であると認めています。

つまり、アメリカにおける人種差別は公然の事実で、それでも国の仕組みを変えてこられなかった歴史の延長線上にあるもの、現在進行系で起こり続けているものだと理解できます。

過激派な国民が過剰反応しているのではなく、普段は社会的に弱いアフリカン・アメリカンが我慢し続けているものが、こういった事件を機に爆発してしまっているのです。

その怒りにつけ込んだ悪意のあるグループが、抗議活動を利用して事実を捻じ曲げようとしているため、略奪を区別していく必要があります。

差別があるのは黒人だけじゃないんだから、人類平等なら賛成したい

この意見はもっともですよね。

これは英語でも All Lives Matter(どんな命も重要だ)という表現が使われています。

日本でも、非日本人(いわゆる外国人)は社会的な差別を受けていると思います。

民族差別、病気の差別、障害の差別、いじめなど、差別の種類は本当にたくさんあり、それぞれが深刻な問題です。

じゃあなぜ今このアフリカン・アメリカンの差別がこれだけ大きく取り上げられていて、なぜ人類平等じゃないのでしょうか?

アメリカではアフリカン・アメリカンは差別を受ける対象でしょうか?

同じアメリカ国民である以上、平等な権利を持っている、移民を受け入れ、色々な人種が混ざっていて、それでも自由と平等を保っている国がアメリカだというのが、一般的なアメリカという国のイメージだと思います。

でも今まで読んできた事実、現実はこのイメージとはかけ離れていますよね。

アメリカという国は、建前では国民の平等を謳いながら、国内ではアフリカン・アメリカンに相対的弱者となるような仕組みをずっと作ってきた国のようです。

建国当初にあった奴隷制度が現代にまでどのように尾を引いているのか、なぜアフリカン・アメリカンが今もなお社会的弱者なのか、Netflixの番組でわかりやすいものをあるので紹介します。

英語の番組ですが、日本語字幕も表示できます。

Explained | Racial Wealth Gap | FULL EPISODE | Netflix (YouTube Link)

これを観ると、人種の違いがどれだけ明確にその後の将来の繁栄を変えていくかが見て分かります。

同じ内容の短縮版がインスタグラムにもありますので併せてシェアしますね。これも日本語字幕付きです。

制度的人種差別について @dvdtyng

ここから分かることは、アフリカン・アメリカンの人たちは、もともと合法的な奴隷という立場から脱し、法律上は守られていることになっているが、現実問題として社会的にも這い上がることができず、警察や政府といった自分たちを守るべき存在からも常に驚異にさらされ続けている。そしてその数が尋常でないということです。

アメリカ国内のアフリカン・アメリカンの人口は4,140万人(全国民の12.7%)でアメリカのマイノリティ(少数派)コミュニティの中で2番目に大きいコミュニティです。

出典:Profile: Black/African Americans / U.S. Department of Health and Human Service Office of Minority Health

そんなたくさんの人達が、アメリカという自由と平等を謳う国の歴史の中で今も変わらず差別を受け続けているため、この問題が根深いのです。

4,140万人の人が当事者となっているこの問題が解決されないならば、他の問題なんて解決されるわけがない。

当事者であるアフリカン・アメリカンの人たちが声高にAll Lives Matterじゃなくて、Black Lives Matterだと訴えかけるのは、自分たちのことだけを言っているのではない。

All Lives Matterなのはもちろんだが、まずはみんなでBlack Lives Matterを解決してほしい、助けてほしいという叫びなんだと僕は解釈しています。

この問題をアメリカの制度改革によって解決できたときには、きっとアフリカン・アメリカンのコミュニティは世界中の差別に対して真剣に取り組んで解決に走るだけのエネルギーがあると思います。それは彼らがその痛みを知っているからに他なりません。

今日のまとめ

長くなってしまったので、今回はここまでにします。

僕も含め、日本で生まれ育った日本人は、圧倒的多数派民族として日本で暮らしているので、人種差別を肌で感じたことがある人は少ないと思います。

でも小中学校であったようないじめを思い出してみてください。

自分の家族まるごと、近所の人からいじめられているということ。

自分の親戚も含めて社会からいじめられているということ。

「鈴木」という名字であるだけで日本という国が自分を守ってくれないということ。

そういうことなのかなと僕は考えました。

調べれば調べるほど、アフリカン・アメリカンが受けてきた社会的な仕打ちは言葉に仕切れないし、その反動であの明るい性格があるのかと思うと胸が痛くなります。

こんな長文を最後まで読んでくださった方は、きっとご自分でも思うことができたと思います。

ぜひ色々調べて読んで見て聞いてみましょう。

一緒に負の歴史について学ぶ良い機会だと思います。

また自分自身も知識をアップデートして、自分のためにもブログにまとめてみたいと思います。

ありがとうございました。

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